18回目にして、初めて1歳の誕生日を迎えたような気がした。 



 
 物心ついた頃から、俺は伯母の家に面倒になっていた。
 俺の本当の両親は、不慮の事故で亡くなったという。
 義理の両親は優しかった。
 優しい彼らに心配をかけてはいけない。
 だから勉強した。
 友達もつくった。
 いつも笑顔でいた。


 そんな毎日が苦しかったわけではない。
 むしろ彼らの笑顔を見ることが出来る日々に満足していたように思う。

 しかし時々考えるのだ。

 
 (今の自分は、本当の自分なのか?)


 操り糸に引っ張られるように毎日を過ごしていた俺は、気付いた時には世界がグレーだった。
 なんの色彩もない世界にも驚きはなかった。自身がそこにいることが、当然のことのように思った。いや、もしかすると最初からすべてのものに色など着いてなかったのかもしれない。そんな気さえしていた。




 そして俺はまた操り糸に釣れられて、真神学園の門を潜った。












 京一の髪は茶色かった。
 京一の瞳も茶色だ。







 俺は今、生きている。




 



  20010226 UP